
メンバーをエースに成長させた大規模プロジェクト
企業規模は15,000名強、既存人事システムを「COMPANY」へと刷新する、2年を超える大規模導入プロジェクト。お客様独自の運用に基づいてスクラッチ開発(※)されたシステムを、汎用最適化されたSaaS型の統合人事システムへと切り替えるべく、WHIでも前例のない規模のプロジェクトへ挑んだ3名が当時を振り返りながら語る。
※スクラッチ開発…既存のパッケージ製品やソフトウェアなどを利用せず、各企業ごとの要件に合わせた独自のシステムを開発する手法
Profile 社員紹介

Y.M.
導入コンサルタント(プロジェクト責任者)
Business Development Div. Standard Service Implementation 1 Dept.
2016年 新卒入社

K.H.
導入コンサルタント(プロジェクトコンサルタント)
Business Development Div. Standard Service Implementation 2 Dept.
2023年1月 中途入社

S.N.
導入コンサルタント
Business Development Div. Standard Service Implementation 1 Dept.
2020年4月 新卒入社
Theme
「COMPANY」への期待に応えるプロジェクト体制
日本を代表する、大手メーカー。同社では、従業員が能力を十二分に発揮できる働きやすい環境構築の一環として、特にダイバーシティ&インクルージョン推進、人材育成、エンゲージメント向上等の人事戦略に力を入れている。
そんな人事戦略のインフラである人事システム。これまでは同社グループのシステム子会社でスクラッチ開発したシステムを約20年間運用してきたが、社内外の変化が激しくなり、スピーディーで柔軟な対応が求められるようになった。スクラッチシステムでは、法改正や人事制度変更等で設定を変える際に時間もコストもかかるため、柔軟に変化に対応できるシステムへの切り替えを検討。こうして白羽の矢が立ったのが、統合人事システム「COMPANY」だった。

同社は、既存システムからSaaS型システムへ切り替えるにあたり、まずは、WHIの「システム選定支援コンサルティングサービス:Pilot Consulting Service(PCS)」を活用。8か月ほどかけてFit & Gap分析を行い検討を進めた。約20年間使い続けた特殊な運用を標準化・最適化していくうえで欠かせないフェーズとなる。
そんな事前検討フェーズを経て、「COMPANY」の導入が決定。2023年4月よりプロジェクトが本格始動した。
プロジェクト責任者にアサインされたのは、この事前検討フェーズをリードしたY.M.。2016年に新卒入社して以来、様々な規模・形態の導入プロジェクトに携わり、経験を積んできた。そんなY.M.は、「事前検討フェーズを通して、『COMPANY』および私たちプロジェクトメンバーへの期待の高さを感じました。それは、『SaaSなのだから構築がない分、スクラッチ開発よりもスムーズに導入できるだろう』『新しい運用の最適化をリードしてくれるだろう』といったもの。まずは、私たちで“人”に対する期待に応えていこう、という思いでプロジェクトを立ち上げました」と振り返る。

そこで、プロジェクト全体の窓口やお客様側のプロジェクトマネージャーのサポートを担う「PC(プロジェクトコンサルタント)」のポジションに、エンジニアから導入コンサルタントへとキャリアチェンジを行った経験を持つK.H.をアサイン。今回は、お客様の既存システムを構築していたシステム子会社もプロジェクトに参画するため、業務運用のみならず、技術面でも知識が豊富なK.H.の存在が鍵となることが予想された。
また、導入するソリューションの1つである「給与計算」の担当コンサルタントとして、S.N.がジョインした。S.N.は、2020年の入社以来、企業の人事システムの核となる給与計算領域を中心に着実に経験を積んでおり、4年目にして大規模プロジェクトでの飛躍が期待されての抜擢となった。
こうして、従業員15,000名を超える企業の自社開発システムを、すべて「COMPANY」へ刷新するという、WHIでも類を見ない大規模プロジェクトが動き始めた。
Theme
お客様を巻き込んだ課題解決にピンを打ち、信頼を構築
大規模プロジェクトは、影響範囲が広く、あらゆるもののボリュームが指数関数的に増えていく。それは要件のみならず、関わるステークホルダーの数も例外ではない。プロジェクトメンバーが最初に直面したのは、導入プロセスに対する認識の違いだった。
「WHIでは短期間でPDCAを回し、適宜課題を改善しながら導入を進める、アジャイル型の手法を主としていますが、スクラッチ開発での現場ではあまり使われていなかった手法のため、プロセスに納得していただくことに時間を要しました」とY.M.は語る。
「計画フェーズのうちから詳細を完全に詰めることは難しい一方で、お客様の『フェーズごとにしっかり固めていきたい』というお気持ちは理解できます。Fit & Gapの分析内容と齟齬が出ないようお客様に寄り添いながら、お互いが納得できる案に落とし込んでいきました」
その後、K.H.を中心にプロジェクトの全体計画をまとめ、さらに詳細計画に落とし込んでいく。機能ごとの担当コンサルタントが具体的な設定や運用を詰めていく作業だが、一筋縄ではいかなかったという。
機能面を担当するS.N.は、「お客様は、『今できていることはもちろん、さらにできることを増やしたい』という思いを持っていらっしゃいます。『COMPANY』というパッケージシステムでどのように実現するのか。機能を組み合わせるのか、そもそもの運用自体を変えるのかなど、お客様とあるべき姿を描きながら、一つひとつ打開していく必要がありました」と振り返る。


そして、実際に設定フェーズへ進む頃、プロジェクトメンバーはお客様の課題の本質を捉えた提案ができるようになっていた。お客様からの各メンバーに対する信頼度は増していたが、大規模ゆえのタスク量が双方を不安にさせていたのも事実だ。
「タスク量が膨大だったため、認識齟齬が発生しないようお客様と一緒に整理しました。WHIの導入手法もご理解いただく必要があったので、丁寧に会話を進めていきました」と、K.H.は手厚い体制強化の意図を語った。不安を解消して信頼をさらに強固なものにするため、打ち合わせの頻度やフォローを増やしながら、お客様のプロジェクトメンバーと密にコミュニケーションをとり、課題を一つひとつ解消していったのだ。
システムが想定と異なる動きをしたり、検討中の運用が実現可能なのかを開発部門に相談する必要が出たりと、課題解消は一進一退を繰り返す中で、Y.M.はプロジェクト全体のリスクを早めに察知し、時には体制やスケジュールを見直すことで、品質・コスト・納期のリスクヘッジを行った。そして、お客様のプロジェクトマネージャーとともに慎重に最終データ移行を進め、2024年10月、無事に本稼動を迎えた。
Theme
挑戦者たちは百戦錬磨のエースに成長

稼動後、初月の給与計算等の月次作業、加えて、賞与や年末調整といったイベントを乗り越え、実運用は数か月で安定を見せた。それでも大規模プロジェクトゆえ油断はできないと、半年ほどの猶予を経て、カスタマーサクセスコンサルタントチームへの引き継ぎを完了させた。
「私たちのシステムは決して『動いたらそれで終わり』ではありません。稼動日は、気持ち的には区切りがついたものの、今後もお客様にとって効率的な運用を実現していこうと、より気を引き締め意を新たにしたタイミングでした」と、K.H.は振り返る。
一方で、プロジェクトを俯瞰していたY.M.は、「検証を丁寧に進めたため稼動に対する大きな不安はなく、『COMPANY』の底力を再認識しました」と語る。
稼動状況の安定とともに、お客様からは「長年の悲願であった人事システムのSaaS化により、ようやく人事データの利活用のスタートラインに立つことができた。これから積極的に『COMPANY』の活用範囲を広げていきたい」という前向きな話をいただいたという。
社内的にも類を見ない規模で注目を集めていたプロジェクトを完遂し、プロジェクトメンバーは大きな評価を得た。K.H.は、そうした状況から、「評価はもちろん嬉しいですが、それ以上に、自分たちの経験が会社の資産になったことが嬉しいです。他のプロジェクトから、『こういう時どうやって対処したの?』とか『どう検証したの?』といったアドバイスを求められることが多くなったんです」と確かな変化を実感する。
また、S.N.は、「お客様とのコミュニケーション力が目に見えてレベルアップしました。適切なラインを適切な温度感で、社内外それぞれにどうアプローチし、どう動かしていくかを体感できたのは大きい」と成長を噛みしめる。
最大の成果は、「このプロジェクトに関わったメンバーは若手も多い中、現在は皆エースとして活躍しています」という、Y.M.の言葉に表れている。「WHIのメンバーは優秀だなと再認識しています。もともと期待を持ってアサインしたわけですが、高難度のプロジェクトにここまでしっかり対応できたのは、本当に素晴らしいと思うんです。潜在能力は計り知れないですね」と、Y.M.はさらに続ける。「『COMPANY』の可能性も計り知れないものだと感じました。この大規模に対応できたことはもちろん、今回得た経験を強みに転化していくことで、よりいっそう強固な製品へと進化していくと思います」と、思いを語った。
会社の大きな一歩にして、たしかな糧となるプロジェクトに名を刻んだ3人。彼らは今この瞬間も、それぞれの最前線で、これからのWHIを牽引していく。
